いびき・睡眠時無呼吸症
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睡眠時無呼吸症とは、どんな病気か
睡眠時無呼吸症(OSA) とは
睡眠中に、舌や軟口蓋が空気の通り道である気道を狭くしたり、閉塞したりすることで、低呼吸もしくは無呼吸になることを言います。
このとき、脳は酸素不足を感知し、呼吸を回復するために一時的な覚醒をするようになります。これを一晩において、何度も繰り返すことで、睡眠を妨げることになるのです。
そのため、日中の過度な眠気や倦怠感などの症状を引き起こし、さらには、生命を脅かすような病気まで誘発してしまうのです。
✽睡眠時無呼吸症(OSA)は、SAS、OSASとさまざま呼ばれておりますが、最新の米国睡眠医学会での呼称名は、OSA(Obstructive Sleep Apnea)となっています。
なかなか気づけない睡眠時無呼吸症の症状
- 大きないびき
- 日中の過度な眠気や倦怠感
- 夜間の頻尿
- 就寝中の窒息感や息切れ
- 就寝中の寝汗
このような症状から、睡眠時無呼吸症だと自覚される方は少なく、家族やパートナーから指摘されることで、はじめてその症状に気づき、受診される方が多いのです。
睡眠時無呼吸症は、日中の強い眠気や、集中力の欠如からくる仕事の能率低下など、日常での社会生活の支障をきたします。
車を運転される方や、重要な判断をしなければならない仕事をされている方などはもちろんのこと、この病気の早期発見がとても重要で、合併症の予防にもつながります。
いびきに隠された怖い合併症とは
睡眠時無呼吸症は、就寝時の呼吸障害ですので、血中の酸素不足により心肺機能への負担がかかり、心筋梗塞や脳梗塞など生命にかかわる合併症を生じる可能性があります。
たんなる「いびき」だと思い、睡眠時無呼吸症を放置しておくと、致死率40%の怖い病気です。また、睡眠障害から脳機能の影響により、認知症、うつ病なども懸念されています。
- 高血圧
(特に降圧剤を服用しているのに、なかなか血圧が下がらない場合) - 心筋梗塞などの循環器系の疾患
- 脳梗塞などの脳血管障害の疾患
- 糖尿病
- 夜間の頻尿(加齢や前立腺肥大と勘違いをしている方が多い)
- 認知症
- うつ病
そもそも、どうして睡眠時無呼吸症になるのでしょう?
繰り返しになりますが、睡眠時無呼吸症(OSA) とは、 睡眠中に、舌や軟口蓋が気道を狭くしたり、閉塞したりすることで、低呼吸もしくは無呼吸になることです。
しかし、そもそもどうして、舌や軟口蓋が気道をふさいでしまうのでしょうか?
それは次のような原因が挙げられます。
- 顎の骨格的な問題:下顎の後退(先天的な問題やかみあわせが原因)
- 歯列不正(狭窄歯列弓)や咬合高径(かみあわせの高さ)が低いことによる口腔内容積の狭さ
- 顎の筋肉の問題:顎周囲の筋肉の弱さや加齢によるその筋肉の衰え
- 呼吸の問題:成人の口呼吸・胸式呼吸の問題
- 肥満
- その他(扁桃肥大など)
狭窄歯列弓(V字歯列弓)は舌のおさまる空間がせまくなるので、舌が後退する。
下顎の後退症例(Deep Bite型)
かみあわせが低いため、上の前歯が下の前歯を覆いかぶさってしまっている。
下顎の後退症例(Open Bite型)
下顎が後退して、前方に適応できないため、上下の歯が噛み合わない状態になってしまっている。
痩せている人でも、女性や子供でも注意!!
日本人特有の睡眠時無呼吸症の意外な原因とは
睡眠時無呼吸症=肥満の中年男性に多いというイメージを持たれているため、自分は睡眠時無呼吸症ではないと思われてしまう方が多いのですが、
実は痩せている人でも、女性やお子さんでも、睡眠時無呼吸症の方が少なくありません。
このことは、日本人に特有の顎顔面骨格の問題(とくに下顎後退や顎が小さい場合など)や、歯列不正(狭窄歯列弓)が原因による舌のおさまる空間が狭いことが挙げられます。ここが、日本人と欧米人とでは、睡眠時無呼吸症の原因が大きく異なっている点です。
お子さんの顎が年々小さくなってきているので、この問題を抱える人が、今後増えていくことが予想されます。
まずは、睡眠時無呼吸症の診査・診断が必要です
当院での治療を受けるためには、医療機関での睡眠検査または睡眠時無呼吸症の診査・診断が必要です。自分の症状と照らし合わせて、すでにご自身で診断されて来院される方がいらっしゃいますが、睡眠時無呼吸症の症状に似ている睡眠障害もあり、その鑑別もしなければなりません。
睡眠時無呼吸症の診査には、二つあります。
ひとつは簡易検査で、もうひとつは、PSG検査(睡眠医療施設での精密検査)です。
簡易検査 | 指先に呼吸のセンサーをつけ、血液中の酸素、呼吸の状態を測定します。 |
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PSG検査 (睡眠ポリグラフ検査) |
睡眠の状態、睡眠の深さや睡眠の質を脳波、眼電図、筋電図で判定し、呼吸状態を口鼻、胸部、腹部の呼吸運動センサーで判定します。 |
安易なOA療法(対症療法)はかえって害を及ぼすことも・・・
OA(Oral Appliance)療法とは、OA装置を装着することで、後退している下顎や舌を前方に位置させます。それによって、気道を広げ、無呼吸やいびきを軽減させる対症療法です。
✽ これ以降Oral Appliance(オーラル アプライアンス)をOAと省略させていただきます。
当院では、OA作製前には、必ず口腔内診査や顎口腔機能診査を行います。
また、OA装置を作製するということだけはしておりません。
なぜならば、OAには副作用があるからです。
その副作用とは、顎関節の状態を悪化させたり、かみあわせを変化させたり、歯周病の悪化させてしまうことです。
その副作用を防ぐためにも、これらの診査は、とても重要なのです。
一体型のOA
分離型のOA
分離型のOA装着時
どうして、当院のOAはソムノデントを選択しているのか
さまざまなOA装置があるなかで、当院では、ソムノデントの装置を選択しています。
なぜならば、最も副作用が少なく、安心で快適だからです。
①顎関節症の問題
自覚症状がない方でも、もうすでに、顎関節症になっている患者さんが非常に多いのが実情です。しかも、睡眠時無呼吸症の患者さんは下顎が後退している方が多いため、症状がなくても、もうすでに顎関節の障害を受けている可能性がきわめて高いのです。
一体型OAでは、上下顎が一体化しているため、お口の開閉口はできないため、顎関節に負担をかけてしまいます。他の分離型のOAは、開閉口はできますが、さらに、スムーズに開閉口できるのが、この装置になります。
②歯ぎしり
夜間歯ぎしりをする患者さんにとって、一体型OA装置の場合、上下の装置が固定されてしまうため、歯ぎしりすることができません。そのことが、歯や顎の筋肉、顎関節などに負担をかけてしまうことがあります。
ソムノデントは、もし歯ぎしりなどで装置を破損しても、ある程度までは、メーカーの品質保証があるので安心です。
②鼻炎
鼻炎の方や鼻が詰まっている患者さんにとって、鼻で息をすることができないので、上下の装置が分離している分離型OAは、口で呼吸することができます。
さらにソムノデントは、お口が非常にスムーズに開くため、安心して就寝することができます。(ただし、本来の呼吸は鼻呼吸)
③唾液
一体型OAは、唾液が多量に出ることに加えて、隙間がないため唾液が飲み込めず、安心して睡眠することができない方がいらっしゃいます。その点、この装置はお口を楽に開くことができるので、安心です。
原因除去療法(当院の根本的アプローチ)
当院においては、睡眠時無呼吸症の原因を引き起こしているのは、顎顔面骨格の問題(解剖学的な問題)と口腔機能の問題であると着目し、まずは症状軽減のための対症療法としてのOA療法を行い、その後はその人の状況に適した根本的なアプローチの提案をしています。
睡眠時無呼吸症は解剖学的な問題(構造的な問題)と機能的な問題の両方のアプローチが必要です。下記項目の1・2・3は、顎顔面骨格(解剖学的な問題)、4・5・6・7は、機能的な問題となります。
解剖学的(構造的)な問題
1.顎の骨格的な問題→後退している下顎を前方に適応させるための矯正治療または、かみあわせ治療
2.歯列不正(狭窄歯列弓)→舌房を広げるための矯正治療
3.かみあわせの問題→咬合高径(かみあわせの高さ)を挙げる咬合治療
口腔の機能的な問題
4.顎の周囲の筋肉の問題→顎周囲筋や舌の筋肉のトレーニング療法
5.呼吸の問題→口呼吸から鼻呼吸への改善、胸式呼吸から腹式呼吸へ改善する呼吸療法
6.肥満→生活習慣・栄養指導
7.快眠アドバイス
睡眠時無呼吸症=解剖学的な問題+口腔の機能的な問題
睡眠時無呼吸症の矯正治療
何度も繰り返しのべてきましたが、睡眠時無呼吸症(OSA) とは、 睡眠中に、舌や軟口蓋が気道を狭くしたり、閉塞したりすることで、低呼吸もしくは無呼吸になることです。
当院での睡眠時無呼吸の矯正治療の目的は、
- 後退している下顎を前方に適応させること
a : 後退している下顎 → b: 下顎を前方に適応させる
「佐藤貞夫著 不正咬合の矯正治療」より抜粋
- 舌がゆったりとして、生理的位置におさまることにより、後退を防ぐこと。
そのためには口腔内の容積を大きくすることです。
口腔内の容積を大きくするには、
① 上下顎の狭い歯列を拡大する
② 咬合高径(かみあわせの高さ)を挙げること です。
通常の矯正治療(歯並びを治す)では改善することはなく、かみあわせを考えた矯正治療でないと、この治療の目的から外れてしまいます。また、いわゆる通常の矯正治療での(中間歯)抜歯は、上下顎の歯列弓を狭くさせ、舌や下顎を後退させる可能性がありますので、当院では、抜歯しない矯正治療となります。
睡眠時無呼吸症のかみあわせ治療
入れ歯や多数歯にわたるかぶせもの治療の方、もしくは、歯の欠損した状態を放置されている方は、かみあわせの高さが低くなっていることが、考えられます。
かみあわせが低くなると、下顎が後退したり、舌のおさまる空間が狭くなると、舌も後退したりするため、睡眠時無呼吸症の原因となります。
そのため、咬合高径を挙げるかみあわせの治療が必要となります。
睡眠時無呼吸症の呼吸療法
睡眠時無呼吸症やいびきは口呼吸が原因で起きます。
就寝時でも呼吸は、口で呼吸するのではなく、鼻で呼吸しなければなりません。
そのためには、自然に腹式呼吸ができるようにならなければなりません。
しかし、ストレスなどの要因などにより、いつしか本来あるべき腹式呼吸から、胸式呼吸になっている方(成人)がほとんどなのです。
このことは、最近の呼吸法などの一般書でも、指摘されております。
そのなかで、さまざまな呼吸法について書かれておりますが、呼吸法は簡単に見えて、いざ自分でやってみると、上手くできていないことが多く、実際習得するのは、なかなか難しいものです。
そこで、当院の呼吸トレーナーがついて、自分の腹式呼吸がどのくらいできているかどうかなど、直接指導していきます。
腹式呼吸が身に付くようになれば、睡眠中は鼻呼吸に変わり、いびきも解消できるようになります。また、自律神経も整えることができますので、快眠の助けにもなります。
内容 | 横隔膜を鍛える呼吸、腹式呼吸、自律神経を整える呼吸 |
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呼吸指導トレーナー | 菅野 美香 |
睡眠時無呼吸症の顎の筋機能トレーニング
今までいびきや睡眠時無呼吸症とは無縁だと思われた方でも、以下のような方が、睡眠時無呼吸になることがあります。
① 老化によって喉元にある顎や舌の筋肉が衰える
② 女性の閉経後(女性ホルモンなどが関係)による
喉元にある顎や舌の筋肉の衰える
③ 子供の顎の周囲の筋肉や、舌の筋肉の力が非常に弱っている
顎周囲や舌の筋肉をトレーニングすることで、睡眠時無呼吸症を防ぎます。
またこのことは、今後高齢になった時の誤嚥性肺炎への予防にもつながります。
内容 | 口唇周囲や舌筋および舌骨上筋群の筋機能療法 |
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顎口腔周囲筋 機能トレーナー | 菅野 美香 |
睡眠時無呼吸症の診療内容と治療費について
保険診療は、さまざまな治療の制約や治療の質の確保が難しいこともあり、本来の治療目的が果たせません。
そのため当院では、睡眠時無呼吸のすべての診療は、すべて自由診療(保険外診療)となっております。
睡眠は、私達の健康回復にとても重要であり、そして呼吸は私達が生きていくうえで最も尊いものであります。睡眠時無呼吸症は、「睡眠」と「呼吸」の両方の障害がある疾患なのです。ある程度の経済的な負担がかかっても、この点を理解していただき、健康で快適な生活が送れるよう真剣に快眠サポートしていきます。
まずはカウンセリングを受けられ、そのときにだいたいの治療内容の説明をいたします。睡眠医療施設での検査がまだお済でない方でも、連携病院もご紹介いたしますので、その時ご相談ください。