どうして、噛み合わせは「見た目」で判断してはいけないのか?
上の写真は20代女性の患者さんです。
見た目だけで判断するとまあまあきれいな歯並びで、何も問題がなさそうに見えます。
しかし、この患者さんは顎関節が痛いという主訴にて来院された患者さんです。
食べ物を噛むたびに顎が痛くなったため、食事ができなくなってしまったのです。
原因は、全体的にかみあわせの高さが不十分なため、下顎が後方に偏位しているのです。
つまり「かみあわせ」に問題があるのです。
また顎機能(総合)診査をすると、顎を動かすときに、上下の奥歯が干渉(歯がぶつかる)をおこしていることがわかりました。
顎関節症(http://yasuzawa.com/kougou/gaku.html)のところで説明しましたが、下顎が後方に偏位すると、顎関節症や不定愁訴など、さまざまな問題を引き起こすことがあります。
そのため、噛んだときの力のストレスが顎関節に負担がかからないよう、かみあわせの高さがきちんと維持できるように改善しなければいけません。
このようにかみあわせに問題があるのに、気づかないでいると、顎関節に長期間負担をかけてしまい、顎関節にある下顎頭(骨)や関節円板(軟骨)の変形をおこしてしまうのです。
Before After
「見た目」はあまり変化がないようにみえるが、顎の偏位が改善され、今では噛む時の痛みはなくなりました。
私がとくに強調したいのは、症状がでてから「気づく」のではなく、そのまえから噛みあわせのチェックをすることが重
要であると考えています。
そのかみあわせチェックは「見た目」ではなく、かみあわせの機能的な問題がないかどうか、診査・診断することが
大切なのです。